舌根部に糸が絡まっていた想定外の犬のお話

2018.01.27.18:32

 「数日前から急に咳をするようになり、食事もいつもの半分くらいしか食べなくなった。」とのことで9歳になるオスのミニチュアピンシェルが来院しました。
 初診時、40℃の高熱があり血液検査で白血球(好中球)の増加が認められたため胸部Ⅹ線検査を行ったところ右葉の気管支肺炎を起こしていることがわかりました。抗生剤を中心とした治療を行ったにもかかわらず、10日後の再診では元気食欲が改善されるどころか、喉に痰が絡んだような咳が多くなり、口の中が痛いのか突然悲鳴をあげるようになったとのことでした。
 そこで全身麻酔下で口腔内を精査したところなんと舌根部に糸が絡まりくい込んでいるではありませんか。左右の舌根部は糸によって深くえぐられ哆開し、真っ赤に炎症を起こしていました。糸の先端は胃の中まで入り込んでいたので、切らないように慎重に引っ張り出すと、先にはかじって食べたと思われる草が絡んで出てきました。これでは舌根部に絡まった糸は取れずにどんどんとくい込んでいく訳です。 問題となった糸は摘出し、哆開した左右の舌根部は吸収糸で縫合し手術を終了いたしました。
翌日より元気食欲も元に戻り、本犬も飼い主様も大喜びですが、糸が原因だったとはまったくの想定外でした。当初の肺炎像は咽喉頭部の働きがうまくいかず、誤嚥性の肺炎を起こしたものと推定しました。
 もう何十年も前の話になりますが、胸を触ると痛がって悲鳴を上げるという犬のことを思い出しました。飲み込んだ(おそらく肉と一緒に)焼き鳥の串が胃壁を突き破って横隔膜さらには肺を貫通し、肋間の筋肉も突き破り胸の皮下に飛び出してきたという驚くような症例でした。
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新年おめでとうございます 平成三十年 元旦

2018.01.02.16:36

  今年もワンワンニャンニャン賑やかなお正月を迎えています。
今年はどんな動物との出会いが待っているのでしょう。
沢山の動物や飼い主様にとって幸せな一年となりますように。
本年もよろしくお願いします。

 人気のカレンダー「レイチェル・ベイル」のアニマルフレンズ残りわずかです。毎年この時期ワクチンや治療でご来院された方にしかお渡しできないのが残念です。「カレンダーください!」って言ってお気軽にお立ち寄りください。
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中高年の小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症

2017.12.30.17:13

 今日は月曜日、休診日です。天候も良く久しぶりにボート釣りに出かけようと、早起きをして準備をしているところに急患の電話が入りました。13歳になるチワワのダイちゃんから「昨夜から急に咳が出始めて止まらない!呼吸も苦しそう!」との連絡でした。症状から僧帽弁閉鎖不全症による肺水腫と推測しました。3年前にも肺水腫を起こし、危機を乗り越えた後は内服薬でうまくコントロールできていたのですが・・・
 すぐに来院していただき、救急治療と酸素吸入を行いました。状態は徐々に安定してきましたが、今日は休日を返上し、お預かりして酸素吸入と治療を続けることにしました。
 今日出かけていれば何か重大なハプニングが起きていたのかも。だからダイちゃんが行くなと知らせてくれたのに違いありません。

 僧帽弁閉鎖不全症とは:心臓の左心房と左心室の間にある弁(僧帽弁)が変性してうまく閉まらなくなって、血液が左心室から左心房へ逆流するようになる病気です。進行するに従い咳や呼吸困難、運動不耐性などの症状が現れ、末期には肺水腫(肺に水が溜まる)を起こして呼吸ができなくなり危険な状態に陥ります。マルチーズ、ミニチュアダックス、ポメラニアン、チワワ、シーズーなどの小型犬に多い心臓病です。
 症状が現れていない健康な子でも聴診器を当てるとザーザーという心雑音が聴取されますので、ワクチンや健康診断時に早期発見が可能です。
 
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10月15日練馬まつりが豊島園で開催されました。

2017.10.29.18:25

 毎年沢山の模擬店や練馬物産品の出展、音楽ダンスなどのステージイベントで賑わいを見せ、今年でちょうど40回目の開催を迎えました。
 私達獣医師会も健康フェスティバル会場において無料のペット相談コーナーを設けたり、狂犬病の怖さを啓蒙するためにクイズを出題したりして大勢の区民の皆様と活気のある時間を過ごさせていただきました。
 今年は雨の中での開催となりましたが、思った以上に来場者が多く各会場は賑わいを見せていました。雨で運休となった乗り物のカラフルなライトに代わって、赤や緑の傘が賑やかに会場を彩ってくれました。

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セキセイインコの疥癬症

2017.09.20.23:42

 今年5月頃から顔や足に皮膚炎ができてだんだんとひどくなってきたということで近所の幼稚園で飼われている2羽のセキセイインコが来院しました。

 眼周囲や嘴の付け根、足には白い小さなフジツボ様の塊が盛り上がり、痒そうに止まり木にこすりつけたり、突ついたりしていました。

 これはセキセイインコでよく見られるトリヒゼンダニによる疥癬症です。オーナーに説明するために病変部を掻爬して顕微鏡で見ていただきました。

 そして心配な事が園児に移らないかということと治るのかということです。鳥の疥癬症はインコからインコへの感染力は強いのですが、人や他の動物に感染することはありません。

 治療はイベルメクチンという薬を2週間間隔で2回、注射またはゾンデを使って直接のう内投与を行います。1ヶ月後の様子です。皮膚病変はかなり改善されてきました。

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猫の慢性腎臓病

2017.08.25.16:26

 血液をろ過して老廃物を尿として体外に排泄する臓器が腎臓です。その大切な機能が徐々に失われていく病気が慢性腎臓病で、10歳の猫の約40%がすでに罹患していてさらに高齢になるにしたがって発症率が高くなっていきます。

初期は多飲多尿という症状で現れますが、猫は元気食欲があり飼い主様は病気と気づかないことがほとんどです。血液検査でもBUN・クレアチニンなどの異常は認められません。唯一尿検査で持続性の低比重尿(臭いの少ない薄い尿)が認められます。

中期になると食欲の低下や毛並みの悪さ、削痩などが認められ、上記の低比重尿の他に血液検査でBUNやクレアチニンの上昇が認められるようになります。実際飼い主様が異常に気付いて来院され治療を始めるのはこの段階がほとんどで、この時点ではすでに左右腎臓の75%以上が障害を受けて機能をしていません。

そして障害を受けた腎組織は元には戻りませんので、残された腎組織をできるだけ温存して今の状態を維持していくことが治療の中心となります。そのために 1.脱水がひどい場合は定期的な輸液(点滴) 2.タンパク質やナトリウム、リンを抑えた食事療法3.尿毒素を吸着させるための活性炭の投与 4.腎血管を広げて血液の流れをよくするためにACE阻害剤の投与などが行われてきました。

最近この治療の中に画期的な新しい薬が登場いたしました。初めて腎機能低下の抑制効果が認められた猫用治療薬で、臨床的には残された腎組織を保護し食欲不振や体重減少を改善する効果が十分に期待ができるとされています。使用している飼い主様からは少し元気になったようだとか粒が小さくて飲ましやすいと好評です。

初期の段階でこの病気を見つけることができれば、投薬によりかなり長期に渡って慢性腎疾患をコントロールできるようになるのではないかと期待しています。

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この時期犬の熱中症にご注意!

2017.07.30.18:08

 先日深夜11時過ぎに「30分ほど前から犬が急にハアハアし始めて落ち着かなくなった。どうしたらいいですか。」との電話が入りました。
 犬は普段からよく診ているシーズーのハナちゃん15歳。心臓病はなく普段は元気でしたが肥満犬であることから熱中症を疑い、すぐにクーラーを入れ冷たいタオルで体を冷やすように指示をしました。
 1時間後、呼吸が楽になり興奮も治まったとの連絡があり、大事には至らなくて良かったのですが、この時期は爽やかな日も多くクーラーを使用していないご家庭が多いため、暑さに弱い犬は熱中症を起こしやすくなります。特にフレンチブルドッグ、パグ、シーズーなどの短頭種や高齢犬、肥満犬の場合は十分な注意が必要です。

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アニサキス症について

2017.05.20.07:52

   最近何かとよく話題になっている「アニサキス」。釣り人にとっては常識の寄生虫ですが、ここでもう一度勉強をし直してみました。
 
 アニサキスは海洋ほ乳類のクジラやイルカの胃腸内に寄生する回虫の幼虫のことです。
クジラやイルカの糞と共に排泄された回虫卵はオキアミというプランクトンに食べられます。そのオキアミの中で卵はふ化し第三期幼虫まで成長。
 そのオキアミを餌としてサバ、イカ、シャケ、イワシ、サンマなどの魚が捕食しますが、これら魚類の体内では成長できず、第三期幼虫のまま消化管を含む内臓内に寄生し、終宿主であるクジラやイルカに捕食されるのを待っています。クジラやイルカに捕食されて初めて成虫(回虫)になれるのです。
 不思議な自然界ですが、これを寄生虫の生活環と言います。大学時代寄生虫学ではこの生活環をよく覚えさせられました。
 
 ところでこのオキアミですが、アジやマダイの釣り餌としてよく使われますが、プランクトンだとは知りませんでした。今までずっとエビの仲間だと思い込んでいました(汗)
アニサキスの多くは魚介類の内臓部分に寄生していますが、不思議なことに魚が死んで時間が経つに連れて内臓部分から筋肉内へと移行します。この魚を人が生で食べることによりアニサキス症と言われる激痛を起こすことになります。人の胃内は強酸性のためアニサキスは苦しくなり時として胃壁に噛みついたり突き刺したりするという訳です。でもアニサキスは傷つくとすぐに死んでしまいますし、胃内でも数日しか生きられませんので、摂取したとしてもこういうことがなく無症状で終わっているケースがほとんどのようです。

 魚の中でも特にサバは傷みが早い上に寿司やしめさばで食べられる機会が多いため、アニサキス症の発生が多いのもうなずけますね。まとめると釣った魚はできるだけ早く内臓を取り除く、イカの刺身は縦にスリットを入れる、釣った魚の刺身は薄造りにする、刺身はよく噛んで食べる(笑)、4~5日以上冷凍した後に刺身にするなどの方法によりアニサキス症の予防はできそうです。
 
 では犬や猫でのアニサキス症はどうかというと、僕自身日々の診療で一度も経験したことがないし、報告を受けたこともありません。でも漁港内や釣り場近くの野良猫達の間では日常茶飯事に発生していることかも知れません。近い将来「猫の胃壁から内視鏡でアニサキスを○匹摘出!」なんていう論文を目にすることがあるかもですね。


アニサキスの生活環2  okiami.jpg 釣り餌のオキアミ 
サバ切り身に付着したアニサキス 

桜満開の下、今日から区の狂犬病集合注射が始まりました。

2017.04.21.11:39

 私は南田中団地の中を流れる石神井川沿いの長光寺橋公園に来ています。
 数日ぶりに天候が回復し、今日がきっと最後のお花見ということになるのでしょう。お昼近くになると、お弁当を広げて桜を楽しむ人達で賑わってきました。
 今日は休日を返上しての参加。うららかな春の陽気に誘われ、私も終了後川沿いを一人のんびりと歩いてきました。 2017/4/10


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自己免疫性溶血性貧血のお話

2017.03.19.19:35

 いろいろな原因により循環血液中の赤血球が減少した状態を貧血といいます。
その貧血は出血や溶血(体内で赤血球が壊される)による再生性貧血と赤血球が作られないために起こってくる非再生性(再生不良性)貧血とに分けられます。

 昨年暮れの12月27日、前日までとても元気だったのに朝から急にぐったりして何も食べないとのことで9歳の雄のトイプードルが来院しました。
体温は39.8℃まで上昇、可視粘膜の蒼白、血液検査では赤血球容積の減少24%(正常38%以上)と総ビリルビンの上昇1.3mg/dl(正常0.5以下)が認められました。さらに尿がオレンジ色とのことで尿検査をおこなったところ血色素尿を認めました。血色素尿とは血管内で赤血球が壊されたために起こってくる赤色尿のことで血尿とは異なります。
 以上の所見から溶血性貧血、特に自己免疫性溶血性貧血を疑い、ただちに高容量のステロイド療法を実施しました。3日目には赤血球容積が18%まで低下しましたが、以後溶血が止まり赤血球はどんどん再生されて、1月6日には赤血球容積は31%まで増加、それに伴い可視粘膜もピンク色に戻り元気食欲とも復活し今日に至っています。
 この病気は急性で死亡率の高い病気で、回復したとしても投薬を減量したり中止したりすると再発しやすいやっかいな病気です。治療を始めて3ヶ月になり貧血も改善され愛犬はいたって元気なのですが、今後は副作用による肝酵素の上昇を抑えるためにどのようにしてステロイド剤を減量していくかが大きな課題となりました。

自己免疫性溶血性貧血:自分の赤血球に対して作ってはいけない抗体を作ってしまい、赤血球を攻撃破壊して急性の重度の貧血を起こさせる自己免疫性の疾患のこと。


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プロフィール

院長 黒田佳之

Author:院長 黒田佳之
東京ラブリー動物病院のラブリー診療日誌へようこそ~♪

診療科目:犬/猫/小鳥/うさぎ/ハムスター/モルモット
診療時間:AM9:00~12:00 PM1:30~6:30(午後予約制)
休診日 :月曜日
☎03-3995-5351
東京都練馬区下石神井1-18-18
ペットホテル・ペット美容室も併設しています。

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