【診療回顧録】ちょうど4年前の今頃、とても苦労した症例です。

2022.01.27.22:08

 「数日前から急に咳をするようになり、食事もいつもの半分くらいしか食べなくなった。」とのことで9歳になるオスのミニチュアピンシェルが来院しました。

 初診時、40℃の高熱があり血液検査で白血球(好中球)の増加が認められたため胸部Ⅹ線検査を行ったところ右葉の気管支肺炎を起こしていることがわかりました。抗生剤を中心とした治療を行ったにもかかわらず、10日後の再診では元気食欲が改善されるどころか、喉に痰が絡んだような咳が多くなり、口の中が痛いのか突然悲鳴をあげるようになったとのことでした。

 そこで全身麻酔下で口腔内を精査したところなんと舌根部に糸が絡まりくい込んでいるではありませんか。左右の舌根部は糸によって深くえぐられ哆開し、真っ赤に炎症を起こしていました。糸の先端は胃の中まで入り込んでいたので、切らないように慎重に引っ張り出すと、先にはかじって食べたと思われる草が絡んで出てきました。これでは舌根部に絡まった糸は取れずにどんどんとくい込んでいく訳です。 問題となった糸は摘出し、哆開した左右の舌根部は吸収糸で縫合し手術を終了いたしました。

 翌日より元気食欲も元に戻り、本犬も飼い主様も大喜びですが、糸が原因だったとはまったくの想定外でした。当初の肺炎像は咽喉頭部の働きがうまくいかず、誤嚥性の肺炎を起こしたものと推定しました。

 もう何十年も前の話になりますが、胸を触ると痛がって悲鳴を上げるという犬のことを思い出しました。飲み込んだ(おそらく肉と一緒に)焼き鳥の串が胃壁を突き破って横隔膜さらには肺を貫通し、肋間の筋肉も突き破り胸の皮下に飛び出してきたという驚くような症例でした。

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院長 黒田佳之

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