セキセイインコの卵詰り

2015.09.17.18:36

「午前中は元気で食べていたのに、午後になって急に元気がなくなり翼を広げたままぐったりして動かない。2日前まで毎日産卵。計5個の卵を産んでいた。」とのことで3歳になるメスのセキセイインコが夕方来院しました。

病鳥は目を閉じ、呼吸は促迫努力性で脚麻痺のため起立不能という危険な状態に陥っていました。稟告と腹部触診ですぐに卵詰りであることはわかりました。
脚麻痺も卵詰りも卵を産みすぎて低カルシウム血症になってしまったために起こったものです。
早く卵を摘出したかったのですが、圧迫刺激を加えても陣痛を誘発できず、卵管口は硬く閉じたままで開きませんでした。
そこで直ちにグルコン酸カルシウムを筋肉内注射し、保温と酸素吸入、ブドウ糖とビタミンB群のカロリー補給を行って経過観察をすることにしました。

午前0時。少し元気を取り戻し、圧迫刺激により陣痛が起きるようになりましたが、まだ卵管口が硬く閉じたままなので無理はできません。カルシウム剤とブドウ糖、ビタミンB群の再投与を行い休ませました。
すると午前5:00卵管口が柔らかく小さく開きだし、卵の一部が見えるようになったので用手圧迫卵排出法で一気に摘出しました。
摘出後病鳥はみるみる元気を取り戻し、餌も積極的につつくようになりました。
摘出した卵はカルシウム不足のため軟かいプヨプヨの状態でした。

今回はかなり危険な状態であったにもかかわらず、運良く助けられたケースですが、いつもこんなにうまくいくとは限りません。卵詰りは日頃よく遭遇する病気ですが、何度経験しても同じパターンがなく、とてもやっかいな病気だと感じています。

写真
1.瀕死の状態で運ばれてきたプゥちゃん。左右の趾が麻痺して起立できません。
2.摘出した軟卵。摘出時滑りやすくするために卵と周囲粘膜との間にゾンデでグリセリンを注入
しました。
3.朝の診察が始まる頃にはしっかりと起立し殻付きアワもたくさん食べて元気になっていました。


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院長 黒田佳之

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